予測型業績管理の概要

組織の各現場では、個別業務のアプリケーション(以後、「アプリ」と略します。)では手の届かない非定型の業務領域が多数存在しています。業務アプリの小規模な改修で対応できるケースに対しても、様々な理由でシステムの更改が見送られ、非効率なマニュアル対応(手作業)となっている作業が多数存在しています。
非定型の業務の中でも、特に、将来予測には関わる領域については、安価で、使い勝手の良い、柔軟性のあるアプリはなく、オフィスソフトなどを使用してマニュアル業務(※1)として実施するケースが一般的です。マニュアル業務では、データ集約作業に大きな工数がかかり、本来の将来予測に対する適切な対応や施策検討に十分な時間が割けない場合がほとんどです。マニュアル業務により作成された将来予測に関わる集約データは、マネジメント間で共有されますが、マニュアル業務で作り出された基礎データである案件の予測デジタルデータは、マネジメント間でも取り纏め組織内においても共有されないローカルなデータとなります。基礎データである案件の予測デジタルデータを「共有」し、直感的に理解できる「可視化」の仕組みが実現できれば、社内の様々な変化を取り込んだ予測がいつでも可能となり、将来予測に関わる作業の大幅な効率化や施策をも含んだより精度の高い将来予測が業績向上へ寄与すると期待されます。
予測型業績管理では、受注生産型企業における将来予測に関わる非定型業務領域である「予測型業績管理」を中心テーマとしています。
最初に基本的な考え方や知識、最近の話題や参考となる概念を紹介し、予測型業績管理に対して、現場から求められる共有と可視化を「営業プロセスに関わる案件のパイプライン管理を支援する受注案件管理」と「将来予測に関わるマネジメント業務支援機能である業績管理」を要求仕様として検討します。
次に、概念実証のアプリ共通基盤として「APアクセル」、この共通基盤上に、予測型業績管理の実装検証プロトタイプとして「APフォーキャスト」を開発し、最後にプロトタイプの動作確認時の注意ポイントをまとめる予定です。開発途中のアルファ版(とりあえず一部の機能は動作するが完成までには未実装の機能や多数の課題あり)、ベータ版(当初の想定機能は、ほぼ実装できてるが、不具合が解消できてない)などをダウンロードできるように対応していきます。是非、ダウンロード頂きご意見を伺えると幸いです。

※1 一般的なマニュアル業務の形態は、取り纏め組織により趣旨説明や報告期限のメールを作成し、記入方法の説明を記載した記入用のエクセルシートを添付して発信します。受信部門は、組織ごとに対応が異なり、現場へのヒアリングを実施するケースや記入用エクセルシートを転送するケースなどバケツリレー方式で記入用エクセルシートを完成させ、発信部門に回答します。取り纏め組織の担当は、返信の督促や返信された添付ファイルの集約を行い報告を作成します。