基本事項の整理(マテリアリティ)

重要と考えていること

企業内の様々な業務支援の仕組みには、情報システム部が提供する仕組みと各部門が独自提供する仕組みがあります。各部門が独自に提供する非定型領域の仕組みは、内製化、技術的な難しさや仕組みの複雑さもあり、マニュアル業務と組み合わせたEUCが中心となっています。
この非定型領域の仕組みは、迷子化、属人化、ブラックボックス化が進んでおり、継続的な保守が困難なケースが発生しています。生産性の向上や業務の効率化が期待できる仕組みでありながら、社内保守を諦め、オフィスソフトによるマニュアル業務に戻すケースも発生しています。
このような、ベンダーロックインに類似した状況を解決するために、内製化を前提として、デジタルデータの有効活用、テーブル情報やスキーマ情報の公開、テーブル内データの自由なエクスポート(エクセル出力)やエクセル出力からのインポート、継続的な保守など利用者が安心して使える価値を提供することが重要と考えています。

視点について

視点について「鳥の目、虫の目、魚の目+α」の考え方がよく紹介されます。出典は解りませんが、確かにと思い、予測型業績管理でも参考としていますので考え方を整理しておきます。
「鳥の目」(マクロの視点)は、物事の全体を俯瞰的に捉えて、現在の立ち位置、全体的な流れなど総合的なマネジメントの視点です。経営計画などで自社のビジネスを取り巻く状況認識など重要な視点となります。
「虫の目」(ミクロの視点)は、徹底的に細部までこだわって、通常は見逃してしまうようなことにも注意する姿勢です。現場だから解る視点です。個人の振る舞いの積み重ねに依存する要素が高い内容です。個人的なばらつきが後工程の生産性の低下や歩留まりを発生させる原因分析などに有効です。ITの世界でよく話題となる「前工程の欠陥除去コスト」の問題などこの視点の重要性を再確認する内容です。「みんなが不便と感じることの棚卸」などもこの視点に含めても良いかもしれません。
「魚の目」(トレンドの視点)は、時間軸から物事を見る視点です。システム開発の進捗推移、IT業界のクラウド利用推移や製品シェア推移など、時代の流れ、世の中の流れをつかむことです。経営管理資料などで前年同月比や受注残の増減、平均単価推移や作業時間分析などがあげられます。この時、「最初のなぜ」に対する感度は非常に重要です。予兆や潮目を早期に認識し、良い情報は早く伝播し悪い情報はなかなか表面にあらわれないことを考慮し、仮説へと展開できることは様々な場面において優位な立場を形成する重要項目です。
「+α」(発想を変えるという視点)は、問題の解決策が出てこない場合など、一度、固定概念を捨て、異なった視点からの発想や、事実とされていることを、一度疑ってみる視点から物事を捉えて考え直すことです。みんなが同じ意見や方向に偏っているケース、周りが見えない状況に陥っているケース、自分たちはよく見えていると思い込んでしまっているケースなどの場合は、有効な視点です。一旦、止めることも解決策の一つです。

マネジメント数値の性格について

マネジメント数値の性格を時間軸から分類すると、実績データ(公開データ)と予測データとなります。実績データは、会計制度、会社法や経理規則などによりルール化されています。実績データには、現在の企業活動に対して、先行して動く先行指標現在指標、企業活動の結果としての遅延指標があります。予測データは、企業独自の定義や予測手法などに影響される将来パフォーマンスを可視化するものです。
先行指標の代表は受注です。受注は、将来に製造する生産量を示す最も重要な数値です。また、次年度の受注を根雪と称する場合もあります。根雪の獲得のために、現場と協調し、様々な提案活動の実施や顧客の立場での予算獲得支援など営業担当の成長にも貢献します。
現在指標の主なものは生産高です。生産高は、現在の製造能力を示す数値となります。受注が拡大する局面では製造能力の拡大が重要となり、大型の開発案件の終了が想定される場合には早期に次の受注案件活動を行うことで生産に関わるファシリティの遊休や社員の待機が増えないように対応することも重要です。外部発注を含めて生産能力の凸凹をできるだけ平坦となるように工夫することは、開発の凸凹によるオーバーヘッドの削減や品質の作りこみなどに重要な要素となります。
遅延指標の中心は売上、利益となります。遅延指標は製造が完了し商品・サービスが顧客に納入されたことを示します。最も一般的なパフォーマンスを表す数値です。
予測データについては、使用しているマネジメント数値の棚卸を行い、性格の分類を実施し、仮設、アクションがどのように、将来のマネジメント数値に影響するかを勘案し、トレースするマネジメント項目を決定することが重要です。予測データ(将来の実績データ)について実績データと同様なトレースを行うことは、納得感のある将来予測となります。