可視化(基本構想)
「可視化」の進展による実現機能
予測型業績管理は、実績デジタルデータ+予測デジタルデータを「リアルタイム共有テーブル」に集約します。更新ユーザーは日々発生するトランザクション(案件管理データや要員管理データ)をリアルタイムに更新することにより、経営、マネジメント、営業担当などのいろいろな立場の切り口から、ユーザーが欲しい最新のデータをいつでも自由に画面に表示、レポート出力が可能となります。
予測型業績管理の概要
予測型業績管理は、下記の主要機能により可視化を支援します。
❶ パイプライン管理による受注確度別案件管理
❷ 使い勝手の良い予測収益管理
❸ ビジネスパートナーまで含めた予測要員管理
❹ 分析しやすい予測業績分析
営業プロセスのパイプライン管理による可視化
通常、営業プロセスの進捗状況の可視化としてパイプライン管理が用いられます。パイプライン管理では、営業プロセスの進捗状況を受注の確度ランクで表現し、案件規模や開発内容・期間などを詳細化・定量化していきます。予測型業績管理では確度ランクを「潜在」「引合」「提案」「優位」「内示」「契約」としています。「提案」時には開発部門との連携も重要です。
営業は受注だけでなく、営業の守備範囲を拡大し顧客との接点の維持も重要です。顧客へのコンサル的な活動、より上位者へのアプローチや現場での提案によるリピートオーダーの受注活動など顧客との接点の拡大が重要なアクションとなります。
パイプライン管理により、時系列で、確度ランク毎に、顧客数、案件数、案件粒度、歩留まりなどの指標により、「いつ」「どのくらいの案件数が」「いくらの売上貢献になるか」「課題やボトルネックなど」が把握可能となり、予算とのギャップ解消施策や必要な人的リソースの調整などにも貢献します。パイプライン管理を通じてデータの蓄積ができると、開発期間を考慮した受注総量管理が可能となります。
予測収益における案件粒度「予測型月次推移PL」
受注案件は、長期間の開発案件や短期での支援作業など様々な取引期間の契約が発生します。また、技術者の開発スキル・熟練度や経験値などによる人件費・購買コストにより案件毎の収益にばらつきが発生します。従って、案件単位にて想定される収益を予測することが重要です。
予測する収益を管理・把握・想定する粒度として、「案件単位の月次推移PLデータ(実績+想定)」(以後、「予測型月次推移PL」と略します。)とします。
予測型月次推移PLは、全組織共通に、案件単位に、一つの案件の属性(受注確度情報やデータの性格)と複数の月単位の詳細な損益詳細情報を連携キー(以後、「LINKID」と略します。)にて関連づける構成とします。LINKIDは案件を特定するキーとなります。
また、大福帳型のデータベース処理を支援するために、月単位の損益詳細情報には、詳細なPL情報と主要案件情報のカラムを保有します。
開発プロセスにおける収益の見直し
開発における案件の想定収益は、案件の進捗に伴う実績の反映や先の工程の見直しなどにより、受注時点の想定収益は工程の進捗に従って変動します。すべての開発案件について定期的に見直しを行うことで全体の予測値の確度も向上します。
また、予測時点❶と予測時点❷の差異内容分析の振り返りも有効です。
開発における予備費の考え方について
開発では、様々な要因により、計画時の開発総額と実行時の総額には差異が発生します。従って、開発総額の予算化では、総額に対して一定の割合で予備費を確保します。顧客からシステム開発の一部分を受注する場合も予備費を確保します。
受注時の予備費については、開発時の役割、前工程のインプットの確かさ、作業工程、成果物の明確さなどや顧客との契約形態などにより様々な考え方がります。
請負契約における予備費は受注時の見積り金額には、予備費として顧客に提示することはしませんが、既存項目にて、システム的な対応方法による影響度合いや開発費用の増減に対するリスクヘッジとして予備費を確保します。見積り時に予見できない未確定項目にたいしては、見積り時の前提条件に「見積り前提は、~xx日に提示された開発範囲とする。開発範囲に変更が発生した場合は再見積りとする」のような記述により回避します。また、開発途中の仕様変更は変更管理を行い追加契約を行うのが一般的です。
支援契約におけるリスク回避は顧客依頼に対して、契約時に予見できない場合の拒否権や不測の事態に対する開発スケジュースの延長交渉などで対応します。
予測型業績管理では、予備費の可視化を行い、支援契約においてもリスク費用として予備費の使用を可能とします。
更新履歴について
〔フォーキャスト管理/案件総量管理の図〕を追加しました。(2023年11月29日)